セラピストのSNS発信:「言わなくてもいいこと」と「プロとして言うべきこと」の境界線

SNSを見ていると、時折サロンを運営するセラピストの方による「本音の叫び」を目にすることがあります。
先日もX(旧Twitter)で、あるリラクゼーションサロンのセラピストさんが発信されていたポストが強く印象に残りました。 内容としては、「夜職(風俗業界等)でジャップカサイやカルサイネイザンという名称を謳うのはやめてほしい。エロ目的の男性客が一般サロンに流れてきて迷惑している」といった趣旨の訴えでした。
サロンを健全に運営したいという気持ちや、困惑される現場の叫びは痛いほどよく分かります。 私自身、夜職の業界で働く方々に向けた技術指導や講師としての仕事も受けているため、誤った認識や方向性を持たれている受講生には、正しい理論と技術の指導・指導・アドバイスを行っています。
しかし、そのポストを拝見したとき、私は強い違和感を覚えました。 それは「その訴え(本音のお気持ち表明)を、お客様が見る営業窓口である公式SNSアカウントで発信する必要があるのだろうか?」という点です。
SNSでのお気持ち表明が引き寄せる「逆効果」
SNSマーケティングの手法や発信方針は人それぞれであり、一つの正解があるわけではありません。 しかし、マーケティングや顧客感情の視点から考えると、一つの疑問が浮かびます。
「そのお気持ち表明は、誰が得をするのか?」ということです。
プロのセラピストとしての視点でお伝えすると、公式SNSで不満や愚痴、お気持ち表明を大々的に叫ぶほど、以下のようなリスクが生じます。
- 好ましくない層の関心をさらに惹きつけてしまう(炎上・拡散・興味本位の絡み)
- 見込み客(良質なお客様)に「愚痴っぽい・攻撃的」というネガティブな印象を与えてしまう
SNSに潜むユーザー層の性質を長年調査・体感してきた経験から言えば、感情的な訴えはトラブルを抑止するどころか、逆に対象者を呼び寄せる引き金になりかねません。
感情で叫ぶより「粛々とシステムを整える」
本当に望ましくない客層の来店を防ぎたいのであれば、SNSで感情を吐露するのではなく、サロンの制度や運営システムを粛々と構築することに集中すべきです。
少し例え話をするなら、部屋に不快な虫を出したくないとき、SNSで「虫よ寄るな!誰か退治して!」と叫び続ける人はいないはずです。ドラッグストアへ行って対策グッズを買い、静かに配置するほうがはるかに生産的です。
サロン経営もまったく同じです。
- 事前の規約同意プロセスの明確化
- 予約時の注意事項の徹底(施術範囲や目的の明記)
- 万が一のトラブル時における対処マニュアルの策定と拒否手続き
感情を荒らげるのではなく、淡々と「来させない仕組み」「トラブルを起こさせないシステム」を整えることこそが、プロの仕事です。
プロのセラピストに求められる「感情コントロール」
誰しも心の中に喜怒哀楽があり、ストレスや本音を抱えています。 しかし、どんな感情が芽生えたとしても、それを自分自身でコントロールし、常に第三者(客観的)の視点を保てることが「プロのセラピスト」と呼ばれるべき姿ではないでしょうか。
「夜職を蔑んでいない」と口では言いつつも、発言の端々に本音が漏れてしまうことがあります。言葉を選んでいたとしても、受け手には心の内が見透かされてしまうものです。
そして忘れてはならないのは、夜職で働いている方々も、私たちのサロンを訪れる大切な「お客様層」の一人であるという事実です。 これはセラピストに限らず、飲食店、美容室、ネイルサロンなど、あらゆるサービス業に共通するプロの心構えです。
まとめ:発信の境界線を見極める
- 言わなくてもいいこと:感情任せの不満、お客様を限定・批判するような本音の発信
- 言うべきこと:サロンの価値観、誠実な技術説明、明確な利用規約と安心できる環境づくり
この2つをしっかりと区別し、自分の感情をコントロールすること。
それこそが、自分自身とサロンのブランドを守り、真にお客様から信頼されるプロセラピストの役割だと私は考えています。
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